2017/08/12

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今回はカフェでの商品値段の付け方について話します。
ネットで「値段 付け方」と検索すると、必ずど原価率30%を目安にする、という文字を見ると思います。
しかし、これを鵜呑みにして値段を付けるとカフェの経営はかなり苦しくなるでしょう。
より利益を上げ、かつお客さんにも納得してもらえる値段の付け方をお話します。
Contents
なぜ原価率30%はあてにしてはいけないのか
単刀直入に言うと、
利益が少なすぎるから。
カフェの場合、お客さん一人当たりが使う金額(客単価)は比較的少なく、かつお客さん席を入れ替わる頻度(回転率)も少ないと言われています。
店にとっては利益が出にくい業種なのです。
利益が少なくても、大量に数を売れれば採算はとれますが、カフェの場合は回転率も悪いため、販売出来る数に限りがあります。
そのため採算が取れなくなってしまうのです。
原価率と利益率の関係性を復習
ここで一度、原価率と利益率の関係を復習しましょう。
利益率+原価率=100%
売価100円、原価30円の場合
この図を見ると分かるように、「利益率+原価率=100%」の関係が成り立ちます。
利益率を上げて利益を多く得るのであれば、原価率を下げる必要があります。
原価率を下げる方法
- 売価を高くする
実際の利益は大きくなりますが、値段の高さによるお客さんの抵抗感も増します。
- 原価を安くする
お客さんの値段に対する抵抗感は減りますが、利益は少なくなります。
単純ですが、このふたつの方法をいかに突きつめて利益を出すかが勝負なのです。
値段を決めるのは原価率ではない!
ここまで、原価率を抑える重要性を話しましたが、値段を決める際に重要なのは原価率ではありません。
原価率は参考程度に過ぎないです。
値段を決める際に重要な5つのポイント
値段設定には以下のポイントを考えます。
- お店のコンセプト
- 付加価値を含めた商品価値
- お客さんの中の適正基準(値段のモノサシ)
- メニュー全体の値段バランス
- 周囲の競合店の値段
商品の値段は、その値段とお客さんの中の商品価値とが合致しなければなりません。
では商品価値とはなんでしょうか。
商品の味は最も重要な商品価値になりますが、その他以下のようなものが含まれます。
- お店の雰囲気
- 店員の態度
- 店員のサービス
- 盛り付け、匂い
これらの要素を全てトータルして、お客さんの中での商品価値が決まります。
原価を考えて注文するお客さんはいません。
店内の雰囲気や店員のサービス等で高級志向のカフェにすれば、1杯600円以上でもコーヒーを飲みに来るお客さんがたくさんいます。
ちなみに、高級な豆を使ってコーヒーを淹れても、原価は1杯60円程度です。
味を高めるのは当然ですが、カフェは高級料理店では無いので、原価率を抑えていかにその他の要素で商品価値を高めていくかを考えます。
また、周囲の競合店の状況を見て値段の参考にするのも良いでしょう。
庶民派のカフェが高級志向のカフェと近い値段にすれば、お客さんは割高に感じるので、周囲のカフェの相場を調べてみるのもひとつです。
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全体での値段のバランスを考える
全体の値段のバランスを考えることは大事です。
それぞれの商品の値段が高ければ、「プラスアルファ」をして注文してもらえる可能性が低くなります。
メインメニューとサブメニューの値段比を考える
コーヒー ¥600
ショートケーキ ¥450
サンドイッチ ¥450
この値段構成だと、コーヒーとサイドメニューを頼むと1000円を超えます。
普通のカフェであれば割高な感じを受けますよね。
この場合、コーヒーを主力商品にしているのであれば、コーヒーの値段よりもその他のメニューの料金を下げてバランスをとることも一つです。
コーヒー ¥590
ショートケーキ ¥410
サンドイッチ ¥390
こうするとコーヒーに加えてサイドメニューも頼みやすくなりますし、結果的にお店の利益に繋がります。
主力商品の値段を下げない理由は、多く売れる商品で利益をしっかりとあげること、お店の顔である商品の価値を落とさないためです。
セット料金はお金を支払う痛みを和らげる
各商品の値段を下げずに、セット価格で割安感を出すことも有効です。
セット価格という料金体系はかなり有効で、お客さんがお金を払う抵抗は少なくなるということが、研究でも明らかなようです。
セット料金は用意しておくべきプランだと言えます。
原価率は、値段の状態を知るツールとして使う
最後に、今まで原価率で商品の値段を決めてはいけないというお話をしてきました。
しかし、原価率は商品の値段や利益率の状態を知るツールとして使えます。
例えば、先ほどの例を挙げて考えてみます。
コーヒー ¥590 (原価:¥60 ⇒ 原価率:約10%)
ショートケーキ ¥410(原価:¥60 ⇒ 原価率:約15%)
サンドイッチ ¥390(原価:¥150 ⇒ 原価率:約38%)
※原価はあくまで想定です。
このカフェの商品が1日に以下のように売れたとします。
「コーヒー:50杯」、「ショートケーキ:10個」、「サンドイッチ:20個」
Totalで考えてみると、
コーヒー 売上:¥29500 原価:¥3000
ショートケーキ 売上:¥4100 原価:¥600
サンドイッチ 売上:¥7800 原価:¥3000
総売上:¥36600 総原価:¥6600 ⇒ 平均原価率:約18%
という風に、お店全体の商品の平均原価率とその内訳を見ることで、売れている個数等も含めた状況を把握することが出来ます。
もし、原価率が高い商品が多く売れていれば、お店全体の原価率も上がり、言い換えれば利益率が下がっているという指標に出来ます。
その場合は、原価を抑えるか、売価を上げる選択をした方が良いかもしれません。
ただ、途中で商品の値段を上げるということは経営上リスクも伴います。
売れ筋になりそうな商品は事前に予想をし、原価率が高くならないよう調整する必要があります。
原価率が下がれば、目標売り上げ金額も変わる
最後に、とても大事な目標売り上げ金額の話をします。
前回の記事で、目標月商は2人での経営の場合、150万円を目標にするというお話をしました。
でもこれ、実は原価率30%程度の場合の話です。
例えば、原価率がトータルで20%であれば出費は減るので、その分目標金額は低くてもOKです。
もしくは、原価率は下げても150万円の売り上げが上げられれば収入はUPです。
原価率を少しでも抑えられれば、お店の経営は楽になることを忘れないでください。
まとめ
それでは今回のまとめです。
- 原価率30%では利益が少なすぎる。
- 原価率は、売上と原価の状態を知るツールとして有効である。
- 商品の値段は、原価率を抑え、味と付加価値を総合した価値で考える。
- セット料金は、お客さんの代金を支払う痛みを和らげるため、有効な手段のひとつである。
- 原価率次第で、目標売り上げ金額も変わる。
以上、最後までお読み頂きありがとうございました。
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